最低賃金法の改正【平成20.7.1施行】

  1. 地域別最低賃金の罰則の強化

    地域別最低賃金の不払いの場合の罰金額の上限が2万円から50万円に引き上げられました。 

    産業別最低賃金については、その不払いについては最低賃金法の罰則の適用はされませんが、賃金全額払違反(労働基準法第24条違反)となり、罰金額で最高30万円が適用されます。 

    使用者は、最低賃金の概要を、常時作業場の見易い場所に掲示するなどの方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければなりません。 
    (これも、周知義務違反で最高30万円の罰金が適用されます。) 

  2. 地域別最低賃金と産業別最低賃金の性格の明確化と決定方法

    地域別最低賃金がすべての労働者お賃金の最低限度を保証するセーフティーネットとして行政機関に決定を義務付けられました。

    産業別最低賃金は、労使のイニシアティブにより決定されるものとし、関係労使の申出を受けた行政機関が最低賃金審議会の意見を聴いて決定できるものとされました。

    産業別最低賃金はすべての労働者のセーフティーネットである地域別最低賃金を上回らなければならないとされました。

  3. 最低賃金の適用除外規定の廃止と減額特例の新設

    今まで、障害により著しく労働能力の低い者等に関する最低賃金の適用除外がありましたが、廃止されます。

    これまで適用除外の対象になっていた以下のような労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けた時は、労働力その他の事情を考慮して減額した最低賃金の効力についての規程が適用されます。

    (対象労働者)
    ・精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
    ・試みの使用期間中の者
    ・基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受ける者のうち省令で定める者
    ・軽易な業務に従事する者
    ・断続的な労働に従事する者

    ※既に適用除外の許可を受けている労働者いついて、使用者は施行日から1年の間に新たに減額特例許可を受ける必要があります。

  4. 派遣労働者への最低賃金の適用

    派遣労働者には、派遣先の地域別(産業別)最低賃金が適用されます。

    派遣元事業主は、労働者を派遣している事業場(派遣先)に適用される地域別(産業別)最低賃金を把握する必要があります。

  5. 最低賃金の表示が時間額に一本化されます。

    時間額、日額、週額または月額によって定められていた最低賃金がすべて最小単位の時間額に一本化されます。
    日額や月額により給与を決めている場合は時間額に換算して比較することとなります。
    (例)
    月給112,000円 年間所定労働日数255日 1日の所定労働時間8時間
    ○○県の最低賃金は時間額665円

    (月給額×12ヶ月)÷年間所定労働時間
        =(112,000円×12ヶ月)÷(255日×8時間)
        ≒659円<665円
     ○○県の最低賃金を割ることになり、最低賃金法違反です。