人を育てる人事制度

bBearさんによる写真ACからの写真

はじめに

そもそも人事制度とは何でしょうか?

英語ではHuman Resource Managementと呼ばれていますから、「人を資源と見て、その資源を活かそう」という発想です。平たく言えば、従業員の持つ能力を育て、最大限に発揮してもらうにはどのようにマネジメントすればよいかということです。
しかし、わが国の人事制度、特に評価制度や給与制度をみると、どうも少し違っているような気がします。
出来る従業員と出来ない従業員を振り分け、待遇に差をつけることが目的になっていないでしょうか。もちろん、会社に貢献する従業員を厚遇することは間違ってはいないのですが、そのことを人事制度の目的とすると、出来ない従業員は出来ないままとなるのではないでしょうか。
以下、人を育てる人事制度の手順とポイントを解説します。

役割等級制度

従業員にはそれぞれ仕事の分担があり、役割があります。

新米社員とベテランでは違います。新米社員がだんだんと成長し、ベテラン社員となり、管理者となったりします。
その成長を段階的に表すのが「役割等級制度」です。
具体的には「仕事」と「役割」で表します。

仕事と役割

仕事は説明してすぐにできる仕事もあれば、知識や経験が必要な仕事もあります。
仕事を洗い出して、仕事の難易度や責任の度合を評価して、役割等級にあてはめます。
従業員の成長ステップに合わせて今、確実に行ってもらいたい仕事、次に習得してもらいたい仕事と明確にします。
また、実務的な仕事だけでなく、会社の中で行ってもらいたい役割があります。改善提案や部下の育成などです。
会社として期待する役割を明確にしていないと、例えば、本人はチームリーダーとして頑張っているつもりが出しゃばりとられたりします。あの人は仕事はできるが、チームワークがないと言われたりします。
仕事以外にも期待する役割を明確にすることが重要です。

仕事と役割の評価

任せられた「仕事」と期待された「役割」ができているかいないかを評価します。

できている、いないを評価しないと成長できません。
できていないことを明らかにして、どうすればできるのかを考えることが成長につながります。
「人を育てる人事制度」では従業員一人ひとりの仕事と役割のできばえを評価します。このことを絶対評価と言います。
よく人事評価を行う場合に「あの人よりは頑張っている」とか「あの人がAだとこの人はB」とかいう基準で人事評価がされています。相対評価と言います。このやり方は従業員に差をつけることが目的となっていて成長につながりません。
「人を育てる人事制度」ではみんな“S”でいいのです。

人事評価の公開

人を育てるということは、できていること、できていないことを明らかにし、できていないことをできるようにすることです。そのためには、人事評価を本人に公開し、上司と一緒になぜできなかったのかを話し合う必要があります。

人事評価と給与

「生活給」と「仕事給」という考え方があります。

「生活給」とは「安心して仕事をするためには、安定した生活が保障される給与が必要だ」という考えです。
「仕事給」とは「会社の利益に貢献する人により多くの給料を支払う」という考えです。どちらが正しいということではなく、安定して人をそだてるためにはという視点で「生活給」「仕事給」のバランスをとることが重要と考えます。
誰でも自分の仕事を評価されたり、褒められたり、認められたりすることは、うれしいことです。
正当に評価された結果が給与に反映することは、モチベーションアップにつながります。
また、従業員自身の仕事上での成長によって、役割等級が上がり、将来的な生活設計も見えてくるような人事制度であれば、この会社で活躍しようという気持ちになります。

「給与のための評価制度」から「人を育てる評価制度」に方向転換しませんか?

「人を育てる人事制度」に興味がある方は中嶋労務行政事務所まで、お問合せください。