はじめに

移民政策を行っていない日本では外国人の単純労働は原則として認められていません。
しかし深刻な人手不足に対応するために、2019年4月より、「特定技能」という在留資格が新設されました。

在留資格とは?

在留資格とは「入国後に外国人が適法に日本に滞在するための法的な資格」をいいます。
「在留資格」には33種類の資格がありますが、大きくは「活動類型資格」「地位等類型資格」とに分けられます。
「活動類型資格」とは「外国人がそれぞれ定められた活動を行うことによって日本に在留することができる資格」です。
「地位類型資格」とは「定められた身分又は地位を有するものとして日本に在留することができる資格」です。
例えば、日本人と結婚して「日本人の配偶者」という立場になった場合に与えられる在留資格です。他に「永住者」「定住者」「永住者の配偶者」など4つの在留資格があります。

3種類の在留資格

日本国内で働くことができるかという点に着目して在留資格をみてみると次の3つに分類されます。

1.就労活動ができない在留資格
留学、家族滞在、短期滞在など
2.決まった種類の就労活動ならできる在留資格
技術・人文知識・国際業務、研究、教育、技能実習など
3.就労活動に制限がない在留資格
永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者、定住者

外国人は原則として、その在留資格に対応して定められている活動以外の活動を行うことはできません。
例えば、プログラマーとして日本の会社に就職する外国人は、その人の学歴や職歴などから日本にとって必要な人だと判断された場合に「技術・人文知識・国際業務」という在留資格があたえられます。
「留学」という在留資格の外国人は就労活動ができません。しかし、あらかじめ資格外活動の許可を得ることにより、1週間に28時間以内で就労することができるようになります。

就労が認められる新たな在留資格

本年4月より就労が認められる在留資格として「特定技能1号」及び「特定技能2号」が新設されました。
○ 特定技能1号
特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する在留資格
○ 特定技能2号
建設、造船・船舶用工業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する在留資格
【特定産業分野(14分野)】

介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業

特定技能1号とは

在留期間 1年、6か月又は4か月毎の更新
※通算上限5年
技能水準 分野別の技能水準試験によって確認
日本語能力水準 日本語能力試験(N4以上)又は
国際交流基金日本語基礎テスト
人材支援の要否 特定技能所属機関又は登録支援機関による支援の対象

※技能水準及び日本語能力水準は良好に「技能実習2号」を修了していることを証明すれば不要となります。

特定技能での外国人の雇用

在留資格「特定技能」で外国人を雇用する場合には次の要件が必要です。

  1. 「特定技能雇用契約」を結ぶこと
    日本人と同等の報酬や差別をしないことなどの要件があります。
  2.  「特定技能所属機関」の基準を満たすこと
    労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していることなどの基準があります。
  3.  「1号特定技能外国人支援計画」を策定実施すること。
    日常生活、社会生活上の支援などの要件があります。

特定技能所属機関のみで1号特定技能外国人支援の全部を実施することが困難な場合、支援の全部の実施を「登録支援機関」に委託することができます。