労働基準法の一部を改正する法律【H22.4.1施行】

 少子高齢化が進行し労働力人口が減少する中で、子育て世代の男性を中心に、長時間にわたり労働する労働者の割合が高い水準で推移していること等に対応し、労働者が健康を保持しながら労働以外の生活のための時間を確保して働くことができるよう労働環境を整備することが重要な課題となっている。
今回の労働基準法の改正は、このような課題に対応するため、長時間労働を抑制し、労働者の健康を確保するとともに仕事と生活の調和がとれた社会を実現する観点から、労働時間に係る制度について見直しを行うものであり、その主たる内容は下記のとおりである。(基発第1212001号)

  1. 時間外労働に関する改正

    (1) 法定労働時間を超える労働に係る労使協定(当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をいう。以下同じ。)による労働時間の延長を適正なものとするために厚生労働大臣が定める基準で定めることができる事項として、割増賃金の率に関する事項を追加するものとした。(第36条第2項関係)

    (2) 使用者が、1箇月について60時間を超えて時間外労働をさせた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないものとした。(第37条第1項関係)

    (3) 使用者が、労使協定により、(2)の割増賃金を支払うべき労働者に対して、(2)の割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(年次有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の(2)の時間を超えた時間外労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、(2)の割増賃金を支払うことを要しないものとした。(第37条第3項関係)

  2. 年次有給休暇に関する改正

    使用者は、労使協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、(1)の労働者の範囲に属する労働者が年次有給休暇を時間を単位として請求したときは、年次有給休暇の日数のうち(2)の日数については、労使協定で定めるところにより時間を単位として年次有給休暇を与えることができるものとした。(第39条第4項関係)

    (1) 時間を単位として年次有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
    (2) 時間を単位として与えることができることとされる年次有給休暇の日数
      (5日以内に限る。)
    (3) その他厚生労働省令で定める事項

  3. その他、中小事業主に対する適用猶予

    (1) 中小事業主(その資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5,000万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主をいう。)の事業については、当分の間、1の(2)は、適用しないものとしたこと。(第138条関係)